涼しい僕たちは扇風機を使う

扇風機が生み出す風とカルチャーを探求しています。

13. オフィス空間での効率的な使い方

time 2024/12/29

現代のオフィスは快適性と生産性が重視される一方で、夏場はエアコンの設定温度をめぐる社員間の意見が対立することもしばしば。「自分は暑がりだからもう少し涼しくしてほしい」「私は冷え性だから寒すぎると困る」といった相反する要望を、どう折り合いをつけるかは職場の悩みの種です。こうした問題を解決する手段のひとつとして、オフィスにおける扇風機の活用が注目されています。エアコンと扇風機を併用すれば、全体の温度を低くしすぎずに風を行き渡らせることが可能になるからです。

 
1)デスク周りにおけるパーソナル扇風機
エアコンが効いたオフィス環境でも、座る席の場所によって体感温度は大きく異なります。窓際やPC・コピー機などが多い場所は熱が溜まりやすく、通路側は冷気の流れが直接当たって寒いこともあります。そんなときに便利なのがパーソナル扇風機です。デスク上や床置きタイプなど、自分専用で風向きや風量を調節できる扇風機があれば、体感温度の微妙な差を自分好みに調整しやすくなります。ただし、風が書類を飛ばしてしまったり、周囲の同僚に直接風を当ててしまうような使い方は避けましょう。

2)会議室やミーティングスペースでの活用
人が複数集まると室温は一気に上がり、エアコンを強めにしがちです。しかし、長時間の会議でエアコンを強くしていると、一部の人は寒さで集中力が落ちる可能性があります。そこで、会議室にも扇風機を一台設置し、熱気を拡散する工夫をしましょう。首振り機能を使って全体に穏やかに風を送り込むと、エアコンの設定温度を上げても快適に過ごせることが多いのです。参加者全員が適度に涼しく保たれれば、会議の効率も上がり、生産性向上に寄与します。

3)フロア全体の温度ムラを減らす
大きなオフィスビルでは、空調が一括管理されているケースが多く、微調整が難しい場合があります。また、ビルの構造上、日当たりの良い場所や仕切りが多い区域など、どうしても空気の流れが滞りやすいエリアが出てきます。そういった場所に扇風機を設置し、空気を循環させるだけでも全体の温度ムラを緩和しやすくなるでしょう。エアコンの吹き出し口や換気口との位置関係を考慮しながら、対角線を意識して風を送るとより効果的です。

4)電力使用量のピークカット
夏場のオフィスでは、エアコンの連続稼働やOA機器の稼働により、電力使用量がピークに達しやすくなります。企業としてはコスト削減と省エネ意識の高まりから、なんとかピーク電力を抑えたいところです。エアコンの設定温度を少し高めにしながら、扇風機で気流を作ることで、快適性をある程度維持しつつピーク電力を下げることが期待できます。サステナビリティの観点からも、オフィスにおける扇風機導入は有効な選択肢と言えるでしょう。

5)職場環境づくりの一環として
デスクに小型の扇風機を置く社員が増えると、雑多な印象を与えるかもしれません。そのため、オフィスのデザインや統一感を大切にする企業にとっては、デザイン性のある扇風機を導入したり、社員が自由に借りられる共用扇風機を用意するなどの工夫が求められます。扇風機を使用するルールや置き場所、音量などを社内である程度取り決めておくと、スムーズに受け入れられることが多いでしょう。結局は「社員一人ひとりが働きやすい環境を整える」ことが目的であり、そのための最適解として扇風機を上手に使っていく考え方が重要です。

 
 
オフィス空間における扇風機の活用は、個々の体感差を埋めながら、全体の快適性と生産性を向上させる手段となり得ます。エアコンを必要以上に強くせずに済むようになれば電力コストの削減や環境負荷の軽減にもつながり、企業にも社員にもメリットが大きいはず。心地よい風の流れる職場は、きっと働く人のモチベーションも高めてくれるでしょう。

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