涼しい僕たちは扇風機を使う

扇風機が生み出す風とカルチャーを探求しています。

手動から電動へ。そしてウィーラーの革新

time 2024/12/24

手動から機械へ 
19世紀に入ると、手動の「回転扇風機」がヨーロッパやアメリカで発明され、歯車とクランクを用いて動かす機械式の扇風機が登場します。 

電動扇風機の誕生(19世紀末) 
1882年:電動扇風機の発明 
扇風機の歴史において大きな転換点は、エジソンの電球発明後、電力が普及し始めた1880年代です。アメリカのシュラー・ウィラー(Schuyler Wheeler)が1882年に最初の電動扇風機を開発しました。これは直流モーターを用いたもので、初期の工業用やオフィス用として使われました。 
当時の扇風機はブレードがむき出しで、デザインも機能的というより工業的でした。 

シュラー・スカーツ・ウィラー(Schuyler Skaats Wheeler)について 
シュラー・スカーツ・ウィラー(1860年5月17日 – 1923年4月20日)は、アメリカの電気技術者・発明家であり、電動モーター技術や電気関連産業の発展に寄与した人物です。ニューヨーク出身で、若いころから電気工学分野で活躍し、後に「クロッカー・ウィーラー社(Crocker-Wheeler Electric Motor Company)」を共同設立するなど、電気モーター技術の進歩に大きな影響を与えました。 

ウィーラーは1882年に、初期の電気モーターを利用して電動扇風機を開発したことで知られています。彼は電気モーターを小型化・実用化し、風を送る用途へ転換するというアイデアを実現しました。ウィーラーの電動扇風機の発明は、当時急速に普及していた電力を利用した新しい家電・オフィス機器の誕生を促し、室内での冷却・換気の手段を大きく変えた点で画期的でした。 

ウィーラーが開発した最初期の電動扇風機の特徴 
モーターと動力源: 
直流モーターを搭載し、当時利用可能だった直流電源から駆動できるようになっていました。 
モーターは金属製フレームに取り付けられ、小型ながらも当時としては十分な回転力を発揮しました。 

ブレード(羽根): 
扇風機の羽根は現在のようなプラスチックではなく、金属製(主に真鍮)の2枚もしくは3枚羽根が使われました。 
非常にシンプルな構造で、羽根の前面に保護用ガードがなく、むき出しのブレードが回転する危険な状態でした。 

デザイン・用途: 
デザインは実用性重視であり、現代のような美観や安全性よりも、「とにかく風を送る」という機能が優先されました。 
主にオフィスや工場などの室内環境に設置され、エアコンがない時代に少しでも涼を取るための革命的手段として用いられました。 

その他の特徴: 
初期の頃は回転数や風量の調整などはほとんどなく、一定の速度で単純に風を送り続ける装置でした。 
後に同様の技術を発展させ、他のエンジニアやメーカーが安全ガード、首振り機能、速度調整などを備えた扇風機を発表していく下地を作りました。 

ウィーラーの電動扇風機のイメージ(絵画的な説明) 
以下は、テキストでの「絵」によるイメージ再現です。実際の写真をお見せすることはできませんが、19世紀末の初期型電動扇風機を想像しやすいようASCII風イメージで示します。 

       ┌─────────┐
       │   金属製   │
       │   モーター  │
       └───┬─────┘
           │
           │ 軸
           │
      ┌───────┐
      │          \
      │   ┌─┐     \
      │   │ │羽根    )
      │   └─┘     /
      │          /
      └───────┘

(上記は正面から見たイメージ) 

イメージ説明: 
中央に小型だが頑丈な金属製モーターが据え付けられ、その前方に真鍮の羽根が2枚、軸に直接取り付けられています。 
羽根を取り囲む保護ガードはまだ存在せず、むき出しの金属羽根が回転します。 
デザインは全体的にごつごつとしており、装飾性はほとんどありません。 
本体は机上または平らな面に置くための単純な台座(丸い鋳物のベースや四角いフレーム状のもの)がついている場合もありました。 
こうした初期型の電動扇風機は、後に安全性やデザイン性を向上させた数々の改良型へと発展し、20世紀にかけて一般家庭にも普及していくことになります。

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