2024/12/18
いや~、皆さん、大型扇風機ってご存じですか?
ちょっとした風車かと思うくらいデカい扇風機。うちの近所のホームセンターなんか行くと、あの巨大な羽をブンブン回してるわけですよ。もうその風圧たるや、猫なんか近づいたら吹っ飛ばされちゃうんじゃないかっていうほど。そりゃもう、体感を超えた『台風感』ですよね。
でもね、こうやって『大型扇風機、大型扇風機』って言ってるってことは、そもそも扇風機を基準にしてるわけですよ。『普通の扇風機よりデカいから、大型。』――そういう理屈。だけど、もしもあの大型扇風機から見たら、どうなるかって話ですよ。あっちにしてみれば『こっちが基準だ』と。そうすると、普通の扇風機が『小型扇風機』になるわけですね。
そうなると、『大型扇風機』は『扇風機』。で、『扇風機』は『小型扇風機』ってことになります。なんだか頭がこんがらがりますよね。これ、どっちを上位にするかで呼び名がコロコロ変わるわけで。要するに、名称はすべて相対的で、一方的な物差しで考えると混乱するって話ですよ。
で、こんな話してると、昔の文学作品を思い出すわけです。
あの“ドン・キホーテ”ですよ。
ドン・キホーテって人は、風車を見て『あれは巨人だ』って言って突撃したらしいですよね。もし現代に彼がいたら、あの大型扇風機を見て何て言うか? 『また巨人がいたぞ! 懲らしめてやる!』って、槍を構えて突撃していくわけですよ。で、一生懸命戦うんだけど、そもそも相手が何のつもりもない“ただの扇風機”だと。結局、風にあおられて吹っ飛ばされちゃうのはドン・キホーテ本人。まるで大型扇風機から見たらドン・キホーテが“小型人間”みたいなもんですよ。
いや~、でもドン・キホーテっていうのは、“夢を追いかける騎士”でもありますよね。大型扇風機からすれば、彼が“先輩の風車”に代わって挑んでくれたのが、ちょっとうれしかったかもしれない。『扇風機? いえいえ、私は風車の末裔ですよ!』なんて言って、あの羽をブンブン回すんじゃないでしょうか。で、ドン・キホーテが大真面目に突撃してきたら、また風圧で飛ばしちゃう。なんだか、そう思うとどっちも憎めないですよね。
結局ね、“大型扇風機”か“扇風機”か、あるいは“風車”なのか“巨人”なのかってのは、見る人・見る側の尺度によるわけでして。名前は違えど、回ってる羽は一緒なんです、回してる風も一緒。あとは、当たる風がデカいか小さいかってだけの話なんですよ。
ドン・キホーテが大型扇風機とやり合って、勝った負けたで騒いだところで、周囲から見れば『何やってんだ、この二人?』ってなもんですよね。ドン・キホーテ本人は大真面目。でも扇風機のほうは、ただスイッチ入れられて回ってるだけ。世間的には『あの人、扇風機に向かって槍構えてるよ……』って、ちょっと心配になるような光景。
まあ、なんだかんだ言いましたが、“大型扇風機”だろうが“普通の扇風機”だろうが、夏の暑さを吹き飛ばすにはありがたい存在。ドン・キホーテにしてみれば、倒すべき巨人かもしれませんが、私にとっては扇風機様のおかげでかろうじて夏を乗り切ってるわけです。
ですから――『大型扇風機を回すか否か、それはあなた次第です』……ってことで、今夜はこの辺で風流に幕を閉じたいと思います。ま、ドン・キホーテには悪いけど、暑さには勝てませんからね。どうかご容赦を!